土つくりのお話し

自給有機質肥料(土壌改良材)

堆肥:稲わらや、麦わら、雑草、落ち葉などの植物質原料だけを
    堆積した有機質資材

水積堆肥:植物質原料の水分をコントロールするだけで堆
       積発酵させたもの

速成堆肥:炭素に富む植物質原料だけでは微生物分解の為の窒素
       が不足し腐熟に時間がかかるため窒素源(硫安、石灰窒
       素、家畜尿など)を添加して腐食を促進した有機質資材

特殊堆肥:植物原料に発酵菌やきのこを作用させたもの

きゅう肥:家畜の敷きわらと家畜糞尿を一緒に堆積・腐熟した有機物資材
      (速成堆肥に属する)

稲わら速成堆肥の作り方

稲わら約400gに消石灰20kgを加え、水をかけて仮積みする。
2週間後に切り崩し、窒素源を窒素1〜1.5kg相当量を加え混合し、2平方
メートル程度の枠内に本積みする。底から空気供給が出来るよう孔の開い
たパイプを数本入れる2か月後に約400gの窒素を加えると1〜2回の切り
返しで完熟堆肥ができる。(窒素源として石灰窒素を用いるときは、消石灰
による仮積みは不要)。

使い方

最も安心して使用できる資材といえる。窒素の大部分は有機態であるため、
肥効は継続的で、初年度には約30%しか植物に利用されない。りん酸含有
は少ないが、作物には吸収されやすい。
カリは大部分が可溶性であり速効的である。さらにケイ酸含量が多い。

成分 水分 炭素 窒素 リン酸 カリ 石灰
含有量 75% 8% 0.4% 0.2% 0.7% 0.5%
成分 苦土 ソーダ マンガン ホウ素 ケイ酸  
含有量 0.1% 0.1% 0.03% 0.0002% 4.5%  

堆肥を作物の養分源としてだけみると10アールに10kgの無機態窒素を供給
するのに硫安なら50kgですむが、堆肥だと13トンも要する。しかし炭素供給
としてみると1トンで必要量を供給できる。その意味では肥料というより、土壌
改良材というべきである。

堆肥の必要性

高度成長期に省力生産のため作物の栄養源を堆肥から供給される窒素など
の養分は化学肥料で代替できるとの化学的論拠が出され堆肥不用論が話題
になった。しかし日本より早くに化学化をすすめた国が初期は蓄積した地力に
より増産傾向になったが、次第に作土の下に耕盤と呼ばれる硬い地層ができ
根張りが制限される等の化学肥料の弊害が出て単収が激減した。短期的に
は堆肥なしで、無機質の化学肥料だけでも作物生産に支障のない場合が多
い。しかし土壌は単に養分を供給する場だけでなく、やわらかくて根張りをよ
くし、水分と空気をほどよく供給する場でもある。こうした土壌の物理性は団
粒構造の発達によって可能になるのであり、団粒構造の発達には有機物施
用が不可欠である。

堆肥の効果

有機物供給だけなら有機質原料をそのまま施用し、わざわざ時間と労力をか
けて腐熟させなくてもよいのでは、という疑問がでるかもしれないが、有機物を
堆肥化しないと作物生育にいろいろな障害が生じる。

  1. 窒素飢餓:微生物は有機物の分解過程で炭素と同時に窒素も必要とす
    る。微生物は土壌中の無機態窒素を横取りし、作物を窒素に関して飢
    餓状態にさせる。
  2. 雑菌の増殖:収穫直後の新鮮有機物はグルコース等の低分子の糖類を
    多量に含んでおり直接圃場に施用すると低分子の糖類を利用して急速
    に糸状菌(ピシウムなど)と呼ばれるカビが増殖する。作物を生育の途中
    で鋤きこむことがある、これを緑肥と呼ぶが、鋤き込んだ直後にはピシウ
    ム等による苗立枯れが激発する。通常3週間たてば、低分子の糖類が消
    耗され、菌は再び胞子になって活動を終えるので、播種はそれ以降に行
    う。こうした苗立枯れの危険回避も堆肥化の目的の一つである。
  3. 有害物質:有機物の分解初期過程からは植物生育に有害な物質が以外
    に多量に放出される。高分子が低分子に分解する途中にベンゼン系の
    物質、低級脂肪酸、糖類、窒素から生じるアンモニアガスなど作物の根
    と接触すると、接触部分は黒くなって壊死するなどの障害の危険もある。
    これらの危険回避も堆肥化の目的の一つである。
  4. 有害生物:有機質原料には病原菌や寄生虫、雑草種子などの有害生物
    が共存している。これらを熱で殺すことも堆肥化の目的である。

堆肥施用による土壌微生物の変化

  1. 土壌動物の増加:堆肥を施用すると、微生物と同時にダニ、トビムシなど
    の小動物や、ミミズなどなどの中動物も増加する。土壌動物は、固い有
    機物破片を咀嚼して細かくし微生物による分解を促進しつつ、有機物や
    微生物を餌にして増殖する。堆肥に生息しているミミズをねらってモグラ
    が畑を荒らしたりもする。
  2. 土壌微生物の増加:よく腐熟した稲わら堆肥1g中には79億の細菌と20
    0mのカビの菌糸が存在する。堆肥重量の約0.4%が菌体である。堆肥
    による細菌の持ちこみは当然ではあるが、それが土壌細菌の増加分に寄
    与するのは2割程度に過ぎないしかし、有機物分解に直接、間接的に関与
    する微生物が増加するなかでも、セルロースやリグニンの分解菌、分解生
    産物であるアンモニウムを酸化する硝化菌、硝酸窒素を窒素ガスに変換
    する脱窒素菌なども増加する。
  3. 生理活性物質の増加:堆肥施用土壌ではアミノ酸や酵母エキス(アミノ酸や
    ビタミン類を多量に含む)で生育の促進される細菌の割合が増加する。
    土壌のアミノ酸やビタミン等の生理活性物質の大部分は、微生物が有機物
    を利用して合成し、細胞外に分泌したものである。したがって、有機物の施
    用量が多いほど土壌中の生理活性物質(植物の成長ホルモンであるオーキ
    シンサイトカイニン等)の濃度は濃くなる。

今また日本農業の大規模化が叫ばれているが大規模農業でも堆肥施用
を重視すべきであり、堆肥の生産供給体制の見直し、堆肥に代わる資材
の開発等が課題である。
堆肥を作り、施用することを弊社としてはお薦めするがどうしても不可能な
場合や早急に必要な場合に施用できる完全有機質肥料で堆肥に近い性質
を持ったネオハイガユーキを推薦する。

ネオハオガユーキ10kg1袋が、稲わら完熟堆肥75〜90kgに相当します。

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